Yohji Yamamoto Collections

2014
Yamamoto & Yohji
Published by Rizzoli

Models for a day rather than runway professionals, men with distinctive faces such as the musician-composer John Cale, the actor Joey Starr and the saxophonist Charles Lloyd stride down the catwalk, highlighting the uniqueness and the strong identity of Yamamoto's style. Furthermore, characters designed by the artist are sketched onto the backs of leather jackets.

Go Yohji go!

Una collezione sicuramente felice che incita all'avventura posti nuovi, tutti da scoprire. Le giacche non sono più sole, portano impressi disegni stilizzati che tanto ricordano Mirò e Picasso. Seriose e classiche nei loro doppiopetto hanno come divagazione bottoni a non finire. Sui blusotti di pelle zip e mega stampe very seventy. Oro sulle camicie da sera che adornano frac impeccabili.

Go Yohji go!

A surely happy collection that incites adventure to new and unknown places. The jackets are no longer alone but bring imprinted stylized designs that remind us very much of Mirò and Picasso. Formal and classical double-breasted jackets have endless buttons as a talking point. Very seventies zips and mega prints on the leather sports shirts. Gold on the dress shirts decorate the impeccable tails.

テーマは〝戦争〞。バックペイントのレザージャケットは、背中に女を背負って戦うという男の意気を表わしている。折しも湾岸戦争が始まり、ミュージシャンのチャールズ・ロイド、ジョン・ケールなどのゲストモデルも含め、フィナーレでは全員で反戦歌を合唱。 4か月後、川久保玲とのジョイントによる〝6·1 THE MEN〞で東京で再演。

The theme is War. The back-painted leather jackets express a man’s determination to fight for the woman on his back. The Gulf War had just begun, and everyone, including guest models such as musicians Charles Lloyd and John Cale, sang anti-war songs together for the finale. Four months later, the group performed again in a joint production with Rei Kawakubo titled "6·1 THE MEN" in Tokyo.

オレンジのレザージャケットに側章つきのパンツ。’60年代モダンジャズシーンの重鎮、サックスプレーヤーのチャールズ・ロイドは、ダンサブルにステージでポーズをとり、ジャズメンならではのリズム感を披露。山本耀司にとって、革のジャケットはメンズでほとんど初めての試みだったという。

Orange leather jacket and pants with side stripes. Saxophonist Charles Lloyd, a prominent figure of the 60s modern jazz scene, poses in a danceable manner on stage, showing off his sense of rhythm as a jazzman. For Yohji Yamamoto, this was almost his first attempt at a leather jacket for men.

Yohji Yamamoto Collections

2014
Yamamoto & Yohji
Published by Rizzoli

Yohji Yamamoto: A Look Back at 50 Years of Fashion

September 30, 2022
WWD
Photography by DNR

ファッションとは何か？〝着る〞とは何か？常に前衛に立ち、ファッションの革命を推し進めてきた山本耀司が、着ること、生きること、因習や常識から自由であることについて語る。奮闘し続ける彼の発言は、自分らしく、自由に"着る"ことへの勇気を与えてくれるだろう。写真は2月に開催された、'91年秋冬メンズ・コレクションの準備に追われるパリのヨウジ・ヨーロッパのスタジオに、ユルゲン・テラーが密着取材。「03」のためだけに撮影された、創作現場ドキュメントだ。

What is fashion? What is "to wear"? Yohji Yamamoto, who has always been at the forefront of the avant-garde scene and who has driven the fashion revolution, tells us about wearing, living, and being free from conventions and social etiquette. His remarks about continuous struggle will encourage you "to wear" freely, showing your true self. The photographs and close reporting were done by Juergen Teller in February in the studio of Yohji Europe as they were busy preparing for the presentation of the Autumn/Winter 1991-1992 collection. This is a documentary on the creative site exclusively shot for "03".

2月3日のショウの招待状。ポスター・サイズで、マーメイド姿のピンナップ・ガールがチャーミングに微笑む

Invitation to the show on February 3rd. A poster size, charmingly smiling mermaid pin-up girl.

モデルを務めるミュージシャンたちとの打合せ。英語とフランス語が飛び交う

自信、不安、苦悩、疲労一一一あらゆる感覚が交錯するのだろうか

深夜にまで及ぶショウの準備。ギリギリまでコーディネートの変更やチェックが行なわれる。緊迫した空気が張りつめる

Briefing with musicians hired as models. English and French words are flying around.

Confidence, anxiety, distress, fatigue - all senses will blend together, hopefully

Late night preparations for the show. Coordination changes and checks are made at the last minute. The tense atmosphere is thickening.

今回のコレクションで話題を集めたピンナップ・ガールのプリントこれはレザー・ブルゾンの背中にプリントされていたオリエンタル・ビューティ

The pin-up girl prints generated a lot of attention in this collection. This is one of the oriental beauties which was printed on the back of a leather blouson.

リハーサルの合間に、モデルを務めたジョン・ケイルと談笑

Having a friendly chat with guest model John Cale during rehearsal.

ショウの舞台裏はとにかくハードーで、こうなる

ピンナップ・ガール・プリントのタイを結ぶ山本耀司の手。この手で、自分のためにタイを結ぶことは決してない

The backstage of a show is generally hard, just like this.

The hands of Yohji Yamamoto tying a pin-up girl printed tie. With these hands, he never even ties a tie for himself.

コミカルな大きめのボウタイにも詩情が漂う

リハーサル中のチャールス・ロイド。本番での彼を「カワイイ」と評する人多し

モデルを務めたミュージシャンたちが舞台に勢揃いん

ヨウジ・ヤマモト・ギャングス（？）。ハードな仕事に耐えて、なお朗らかなスタッフ

キュービストのパピエ・コレにヒントを得てデザインされたジャケット

ヘア担当のマーク・ロペス（右）とモデルを務めた三原保紀

ヨウジらしい美しいシルエットの上着

ブランキーの浅井健一

人気者だった〝いい味〟を出してるスタッフ

A comically large bowtie is filled with poetry.

Charles Lloyd during rehearsal. Many people described him as 'kawaii' when performing.

The musicians who served as models are gathered on stage.

The Yohji Yamamoto gangs (?). They have put up with a lot of hard work, but they were still cheerful staff.

A jacket inspired by the Cubist papier collé.

Hair stylist Marc Lopez (right) and model Yasunori Mihara.

A jacket with a beautiful Yohji silhouette.

Kenichi Asai of Blankey Jet City.

Staff with "good taste" were quite popular.

ファッションは伝統や常識に縛られない

――今回の特集の主盲は、ファッションの本質は、革命的で自由なものだということなんですが、最近はコンサーヴァティヴな服が主流で、その裏返しとして、セクシーな服がもてはやされていますね。でも、そのセクシーさの表現も安直で、セクシーという固定観念に縛られている。ちっとも自由じゃないと感じるんですが。

「まず第一に、何から自由になるのかが問題だよね。最終的には自分自身からも自由になることだろうけど。その前段階として、自分を被いつくしている、あらゆる因習から自由になることが〝自由〟のポイントだと思う。ここでファッションの話になるはけど、本来ファッションは伝統や常識に縛られない自由なもののはずなんだ。現状に問題提起し、反抗する精神を取り除いたらファッションじゃない。この部分が、一般的な認識とは大きく違うところだね。一般にファッションは単なる流行と解釈されているでしょう。決してそうじゃないと思う。ファッションについて考えることは、すなわち現在の常識について考え、それに対して疑問を提起するということじゃないだろうか」

――新しい価値観を見出していくということですね。ニーチェが新しい価値観について〝クリエイターたらんとするならば、破壊するべきだ〟と書いていますけど。耀司さんの仕事に通じているようですね。

「一緒に仕事をしている建築家が、『山本さんの所に来て、一番勉強になったのは、壊すことを教えてもらったことだよ』と言ってくれたことがあった。すごく嬉しかった」

――80年代初頭にバリ・コレに参加した時も同じように反逆精神を持って行った。

「パリに行った時のテーマは 『エレガントなんてクソくらえ』だった。ヨーロッパのエレガンスをぶっ壊しに行こうと思ったんだ。結果は賛否両論。善かれ悪しかれ一種のブームになって、騒がれたけどね。ポール・ポワレ（今世紀初頭に活躍したフランスのデザイナ-）が19世紀までの中世、近世を引きずったオートクチュールを豪華の悲惨、と称して、シンプルな服の美しさを提唱した。当時、それは豪華に対する質素の提案という意味で、センセーショナルで革命的だった。坂ロ安吾流に言うと〝豪華なものも簡素なものも、いずれ人間が作り出す俗なものだ〟となるのかな。豪華が正しいとか、簡素が正しいとかは絶対にない。ただ、どうせ豪華なら、豪華極まって哀愁が漂うくらい豪華ならば、素敵に違いない。どうせ簡素なら、徹底的で危険なほど簡素ならば、人の気持ちを打つことが出来るに違いないと思うんだ」

――新たな提案を持って、'80年代に出るべくして登場し、世界的な地位を確立した……。

「でも、俺は'80年代のデザイナーとしてヒンナップされることが一番嫌いだからね。'80年代にやったこと、先週やったこと、昨日やったことを全部否定したいし、忘れたい。済んでしまったことは大嫌い。そんな気持ちで進んできた。自分でも何が飛び出すか分からない。先に直観――啓示、ひらめきと言ってもいいけど――があって、訳もわからず動かされてきた。飛び出した後で、人が色々と解説し、納得し、批判してくれたりする。結果として見ると、それがその時代に出るべくして出たものだったりする」

――次々に新しいことを探して、自分の作品までも否定していくなんて、あくなき探究というか……。

「うん、俺はしぶといからね（笑）。諦めの悪いデザイナーと呼ばれてるから。でも、とにかく、実験、実験と繰り返してきた。何故そこまでするかと言うと、因習や常識、それに縛られて仕事をしたくないと思っているからなんだ」

人に何かをあげられるのは戦争でも政治でもない

2月3日にバリで開催された『ヨウジ・ヤマモト・プール・オム』のコレクションは、ショウの内容のみならず、ビジネス的な数字の上でも、大成功を収めた。湾岸戦争が勃発した直後で、陰な気分が人々を包む中、ヨウジのショウは元気で明るく、ポジティヴなエネルギーに溢れていた。モデルを務めたのは、ジョン・ケイル、カート・スミス（ティアーズ・フォー・フィアーズ）、ジャズ界の大御所チャールス・ロイド、そして日本からは花田裕之、ザ・ブランキー・ジェット・シティの面々など、すべてミュージシャンたちだった。『03』の企画のために、2日早朝のリハーサルから、ショウが終わるまでの2日間をヨウジや彼のスタッフと過ごした写真家のユルゲン・テラーも、その強烈なエネルギーの毒気に当てられて、興奮ぎみだった。

――ユルゲンが言ってたんですが、ショウのリハーサルから、前日の深夜に及ぶ準備、そして華やかな本番まで見せてもらって、非常一に感動したそうなんです。デザイナーやスタッフが情熱を持って仕事をする姿が、あまりにも真撃なので心を打たれたと。

「偉そうなことを言ってもいいかな。俺たちは現代文学にできないことをやっていると思ってるんだ。その時代の、まだ言葉にはならないけれども、直観とか、エモーションの部分でみんなが感じていること。〝今の俺たちはこうだよね〟、〝こういう方向に行きたいよね〟という共通の感覚。要するに『なっ！』と言って理解し合える部分。その微妙な部分を表現するのがファッションの一番大事な仕事だと思う。目に見える部分だけで言うと、生地が何だとか、フォルムがどうだとか、色がどうだ、となってしまうけれど、その全体の流れの中に秘められている、本当に伝えたいことは言葉にならない。いつも目指しているのは、いい映画を観た後や、いい本を読んだ後のような感覚を、ファッション・ショウを観た人の心に残したいということなんだ」

――日本人のファッションへの関心は高いのに、ファッションの現場と一般の間には感覚的な隔たりがありますね。たとえば、ファッション・ショウと言うとすごく軽薄な印象で捉えられている。

「その言葉の軽さも相まって、ファッション・ショウは完全に誤解されているよね。残念ながら、日本のジャーナリストや批評家たちの中でも、そのことを分かっている人は少ないような気がする。ファッション・ショウの舞台裏がいかにハードな状況で、スタッフがどんなに真剣に取り組んでいるかを見ると普通の感覚を持った人ならば、イージーな批評なんて出来ないはずだよ」

――でも、結果としていいものを作らなかったら、認められないし、バカにされるか、無視されるかですよね。

「もちろん、そうだね。あるスタッフが、みんなすごく頑張ったんだから認めてやって下さいと言ったことがある。俺はその時に怒っどんなに徹夜して頑張っても、人に伝わらなかったら駄目だからね。俺たちの仕事は何かを伝えることだから、伝わらなかったら失敗。〝伝える〟というよりも〝あげる〟という言葉の方がいいかもしれない。スタッフをハードに働かせた結果、何かを人にあげられるかどうかは、最終的にはデザイナーである自分の責任なんだけどね」

――戦争中ということで、ショウを取り止めたり、縮小するデザイナーが続出する中、いつにも増して、思う存分ショウをやったでしょう。戦争なんかに左右されてたまるかという気持ちが強かったんですか？

「左右されてたまるかより、もっと強い気持ちだった。本当に人に何かをあげられるのは戦争や政治じゃなくて、アートなんだということ。それを明確に伝えるには、逆に今回が絶好のチャンスだと受け止めた。日本人のあるジャーナリストが 『こんな時にファッション・ショウなんて不謹慎だ』と言ったんだ。〝不謹慎〟だよ〝不謹慎〟！これはある意味で、ファッションを含めたアートに対する日本人の認識を表わしてると思う」

――いわゆる純粋芸術に比べて、ファッションを含めた商業芸術を軽視する傾向がありますね。

「ファッションを軽視する傾向は、主に日本とアメリカにしかないようだけどね。バリを中心としたヨーロッパでは、ファッションは一重要な文化的要素であり、風俗や他のアートとの関係性において、きちんとした位置づけをされている。常々発言してきたのは、ファッションが何であるかを理解できない人には文化を語れないということ。そんな人は文学も、音楽も、美術も語る資格はないと思うんだ。たとえば、有名なアーティストや作家の服装を見て、こいつは本物か、偽物か、と思ったりするでしょう。服装には、人の趣味や思想が顕著に表われる。些細なことだから、なおさらハッキリ出るんだと思うよ」

俺は嫌な野郎だな、と自己嫌悪に陥ることがある

常に前衛に立ち、自分自身がエスタブリッシュされることに対しても反逆的なこのデザイナーは、強靭な精神でモードの革命を推し進めてきたのだろうか？

――自分の過去の作品までも否定して突き進んでいくためには、精神的な葛藤もかなりキツイものがあるのではないですか？

「仕事上の葛藤よりも、ひとりの人間として一の葛藤の方が大きいと思う。自分の身のまわりの人間（たとえば自分の好きな女や友だち）と、ただただひとりの男として一生懸命つきあって生きたい。そして、それを通して、自分を含めた人間のいやらしさ、可愛らしさ、優しさなどを体感しながら生きていきたいという強い思いがあるのに、そこから生まれて一くる感情を仕事に投入してしまってるんだ。いつの間にか仕事に逃げ出している。本当は一対一の人間として解決すべき問題までも、仕事にかこつけて現実と闘わないでいるような気がするんだ。ひとりの男としての自分と、仕事をする男としての自分の間を行ったり来たりしている。よく言えば、生身のすべてを表現活動に投げ込んで、生きることと表現活動に境目がない。本当の表現活動はそうあるべきだと自分を慰めたり、責めたり。たとえば、大切なあの人があれだけ苦しんでいるのに、今すぐ物理的に助けてあげられない、そんな状況に直面した時に、一体どっちが大事なんだよ？と、そんな疑問を常に自分に投一げかけて生きているみたいだ」

――かなり人間くさい……。

「そんなことを考えながら、俺は実に嫌な野郎だなぁと思って、自己嫌悪に陥りながらシャワーを浴びてたりするワケですよ」

――坂ロ安吾とアルチュール・ランボーを愛読なさってますが、彼らの言葉や生ききまに勇気づけられているのでしょうか？

「坂口安吾は〝うろたえ〟、〝動顚〟という言葉をよく使っていてね、〝うろたえたり、動顚したりすることを恥じるな〟と言っている。それがすごく好きなんだ。〝おろおろしながらも、奮闘せよ〟ということ」

――よく、坂ロの生ききまはトラジコミカル（悲喜劇的）だと称されますね。

「俺が好きな表現活動は、すべてトラジコミカルという言葉に集約できるかもしれない。俺が本物だと感じるものは、間違いなく粗削りでコミカルなんだ。ただ、ひたすらトラジカルなだけのものに名作はないと思ってる」

命がけで服を着る奴もいるんだ

服を着るという行為は、人間が生きている限り繰り返される。人の生き方や考え方とフアッションは切っても切り離せない。山本耀司は〝着る〟ということをどう考えているのだろうか。

――ファッションというよりも、着るという行為そのものについては？

「嫌いなのはスノビッシュなミニマリズム。服なんてどうでもいいんだ、ジーンズとしゃれたTシャツと上質のカーディガンがあれば、それでいいのさ――みたいな態度が一番イヤだ。それから、豪華ということで言えば、上流階級の貴族的なムードに憧れて、自分の実際とは違うものへの変身願望を持って、豪華に装うのは馬鹿げてると思う」

――自分らしい服装をしろということ？

「もっと簡単に言うと、 『いつも自分が着ている服で誰にでも会えるか？』ということなんだ。俺はよく『天皇が俺に会いたいって言ったら、このカッコで行くよ』と言うんだけどね。自分が信じる、自分らしい、自分の好きな服装をすることで、どんな目に遭うことになろうと、それを着続けることができますか？これが〝着ること〟の一番大きな問題だと思う」

――そういう意味では、ミュージシャンには服装と作品に一貫性を持って生きている人が多いですね。たとえば、デーモン小暮が総理主催のパーティにあのままのメイクと服装で行ったでしょう。

「それは結構、結構！とにかく『妙なカッコしやがって』と言われることを恐れないことだよ。たとえば藤田嗣治がバリへ行った時、妙なオカッパ頭の危ういスタイルで人目を引いた。奇抜なカッコをしても、その人が表現する作品を傷つけなければ問題はない。その人と作品が本物だったら、絶対にそんなことはないはずだからね。大袈裟かもしれないけど、突き詰めれば、服装の表現は命がけだよね。ある服を着ることで、職を失うかもしれない。そこまでのリスクを背負ってその服を着ている人もいるんだからね」

――服装はその人の主義主張を明確に表わしますからね。

「たとえば、俺なんかが仕事終わってボロボロで、雨の中でタクシーを止めようとしても止まってくれないものね（笑）。タクシーの運転手が服装で客の品定めをするというのは象徴的に世の中を表わしているね。それに負けちゃいけない」

限定された条件の中から生まれる〝人生の服〟

――ヴィム・ヴェンダースが撮った 『都会と服の手帖』（山本耀司の創作現場に取材した記録映画・日本未公開）の中で、オーギュスト・サンダー（'30年代を中心に活躍したドイツの写真家）が撮った、市井の人々のポートレートから得るインスピレーションの話をなさってましたよね。

「サンダーのポートレートからは、人の生ききまが溶み出ている。写真に写された人々の風貌や服装が、それぞれの職業や人生を静かに語りかけてくるからね。今まで、素敵だなと思った服に、第2次世界大戦中のヨーロッパでナチス・ドイツに迫害され、放浪していた東欧の人々の服装があるんだ。着のみ着のままってやつ。その美しさには、ファッション・デザイナーが一生がんぱっても勝てないと思う。要するに〝人生の衣料〟、〝人生の服〟、これは作れないだろうなぁ……」

――詩人だなぁ……。

「うーん、なんて言うのかな、あの迫力は作れないだろうな、という悔しさなのかな。限定された条件の中から生まれてくる服装の魅力は圧倒的だから。たとえば、日本の学生も同じでしょう。制服という限られた条件の中で、ちょっとした工夫を凝らして自己主張する。そんな中から、自分らしさが生まれる。そんなおしゃれが大好きなんだ」

――三島由紀夫の『仮面の告白』にも、制服に派手なソックスをはいて、みんなに注目される、キザで魅力的な学生が登場しますね。

「おしゃれってそういうことだよね」

――制服と言えば、今年度から採用されるJR東海の制服をデザインされましたよね。

「やっぱり、俺は制服が大好きだからね。たーとえば、毛沢東全盛期の中国で、みんなが人民服を着ていた頃、みんながみんな同じ服装をしていたからこそ、それぞれの個性が引き立っていたでしょう。動物にたとえると、イグアナみたいな奴、ライオンみたいな奴とかね。同じ服を着てるから、なおさら各々の自然、個性、持ち味が引き立つ。ところが、中国で低いレヴェルのファッションを取り入れ始めた途端に誰もかれもが一緒に見えるようになった」

――ちょっと意地悪な聞き方ですけど、ある意味で制服は人を管理する服ですよね。管理され、階級に隷属する服装を否定する山本耀司が、なぜ制服のデザインを引き受けたのでしょう？

「国鉄の制服を……」

――JRでしょう？

「そうそう、JRね。それは、何と言っても公共の目に触れるパブリックなデザインがよくならないと駄目だ、と常々思っていたからね。そして、制服には人を管理する服という以上に、さっき言ったような着のみ〝着のまま〟の服に共通のものがあると思うんだ。選択の余地がない、限られた条件の中から生まれてくる美しさや迫力。そんな制服の魅力を表現するのも、デザイナーの役割だと思ったからなんだ。さらに言うと、公共の目に広く露出されるJRで働く男たちが、俺の服を着ることでカッコ上よく見えたら、ひいてはドブネズミ・ルックと言われる背広が変わるきっかけ、あるいは、変わるヒントになるかもしれないという気持ちを込めたんだ」

――一石を投じるわけですね。

「そう、小石をね。お役に立てれば……みたいな感じでね」

――最後に、月並みなインタヴューの締めですが、読者にメッセージを頂きたい。今、フアッションに関心のある若い人たちは、マニュアル通りのファッションの提案を信じていないと思うのです。今シーズンはこの色だ、この形だ、みたいなでっち上げのファッション情報に疑問を持つ人が増えている。それを踏まえて一言。

「じゃあ言うよ。もっと挫折しろ。大人になるな。学校を中退しろ。以上！」

――中退？

「学校をドロップ・アウトするくらいの奴らの中に、本物の若者がいるっていうこと」

2月3日のショウ。ロックンロールのリズムに乗り、エネルギーに満ち溢れたヨウジの服を纏って、ステージを暴れまわったミュージシャンたちが姿を消し、会場が暗転した時、バック・ステージから、かすかに歌声が聞こえてきた。 『ウィ・シャル・オーヴァーカム（私たちはいつの日か打ち勝つ）』。そもそもは黒人霊歌だった『アイ・ウィル・オーヴァーカム』がビート・シーガーやジョーン・バエズによって歌い継がれ、アメリカの黒人公民権運動の闘争歌、ヴェトナム戦争の反戦歌として広まった歌だ。会場に少しずつ明かりが戻るにつれ、ミュージシャンたちが再びステージに帰ってきた。突然の出来事に、それまで沸きに沸いていた観客はたじろいだように沈黙していたが、ミュージシャンたちは歌うことを止めなかった。手を取りあって、より大きな声で歌い続けた。いつの間にか、客席からも歌声や手拍子が聞こえてきて、会場を包んだ。それは、まさしくヨウジとその仲間たちが、人に何かを〝あげた〟瞬間だったのかもしれない。

『ウィ・シャル・オーヴァーカム』は単に反戦歌として歌われたわけではない。因習や伝統をぶち壊し、反逆精神をもって奮闘してきたこのデザイナーが、最終的には自分自身にも打ち勝つための闘いを続けることを宣言していたのだ。これからも、ヨウジは少し照れた表情で 『アイ・ウィル・オーヴァーカム』を歌い続ける。

Fashion is not bound by tradition nor social etiquette

― The main blindspot of this report is that the essence of fashion is revolutionary and it is to be free, but that recently, conservative clothing has become mainstream, and as such sexy clothing is touted. However, the expression of sexiness is cheap and bound by the stereotype of sexy. I feel like it is not to be free at all.

"First of all, the question is what to be free from. Ultimately, it is to be free from ourselves. As a first step, I think the point of 'freedom' is to be free from all the conventions concealing ourselves. I'm talking about fashion here, but fashion should be free and not bound by tradition or social etiquette. It's not fashion if you get rid of questioning the status quo, of the rebellious spirit. This part differs greatly from the general understanding. Generally, it seems that fashion is interpreted as just a fad. I don't think so. Thinking about fashion means thinking about the social etiquette of the present and raising questions about it - isn't it?"

― It means finding new values. Nietzsche wrote regarding new values that "he who has to be a creator always has to destroy." This sounds familiar to Yohji's work.

"An architect I was working with one day said, 'I came to Mr. Yamamoto and what I studied the most was how to destroy.' I was very pleased."

― When you joined Paris Collections in the early 80s, you had the same rebellious spirit.

"When I went to Paris, the theme was 'Elegant bullshit'. I thought I'd go to destroy the elegance of Europe. The result was a mixed reception. For better or worse, it became a kind of boom and made noise. Paul Poiret (a French designer who was active at the beginning of the century) advocated the beauty of simple clothes, calling haute couture that dragged medieval and early modern times until the 19th century a luxury misery. At the time, it was sensational and revolutionary, in the sense of a frugal proposition to luxury. In the words of Ango Sakaguchi: 'both luxurious and simple items are vulgar things that human beings create,' aren't they? There is no absolutely right luxury or right simplicity. However, if it is luxurious anyway if it is luxurious enough to drift pathos, it must be nice. I think if it's simple, if it's exhaustive and dangerously simple, it must be able to strike people's feelings."

― With your new proposal, you came out of the 80s and established a global position....

"But I hate being hinted at as an 80s designer the most. I want to deny and forget everything I did in the 80s, what I did last week, and what I did yesterday. I hate what I've done. I've moved forward with that feeling. I don't even know what will come out myself. I follow my intuition first - some say a revelation or a flash of inspiration - and I move without understanding. After a launch, people explain, comprehend, and criticize in various ways. As a result, it may be something that came out in that era."

― To search for new things one after another and to deny even your own work is an endless quest...

"Yeah, I'm stubborn (laughs). Some say I'm a designer who doesn't know when to give up. But anyway, I've been experimenting, experimenting repeatedly. The reason why I do it is because I think that I do not want to work restricted by conventions nor social etiquette."

It is neither war nor politics that can give people something

Held on February 3rd in Paris, the Yohji Yamamoto Pour Homme collection was a huge success not only in terms of show content but also in terms of business numbers. In the immediate aftermath of the Gulf War, as a shadowy mood engulfed everyone, Yohji's show was lively, cheerful, and full of positive energy. Amongst the models were John Cale, Curt Smith (Tears for Fears), jazz mogul Charles Lloyd, and from Japan Hiroyuki Hanada and The Blankey Jet City. On behalf of 03, photographer Juergen Teller was excited, having spent two days with Yohji and his staff from the early morning of the rehearsal on the 2nd until the end of the show, but also exposed to a poisonous atmosphere of such intense energy.

― As Juergen said, he was deeply moved by the show's rehearsal, the late preparations the night before, and the gorgeous performance. The passionate work of the designer and staff was so sincere that it touched his heart.

"I don't want to sound arrogant. I think we're doing things that contemporary literature can't do. It's what we all feel in that era, something you can't put yet in words, but in terms of intuition and emotions. It's a common feeling of ‘this is how we are now' or 'this is the direction we want to go'. In short, it's the part where we can say 'now!' and understand each other. I think the most important job of fashion is to express those subtleties. If I were to talk only about the visible aspect of it, it would be about what the fabric is, what form it takes, what color it is, but what I really want to communicate is hidden in the overall flow and cannot be put into words. What I always aim to do is to leave in the hearts of the people attending a fashion show the same feeling as you get after a good movie or a good book."

― Although Japanese people are very much interested in fashion, there is a sensuous gap between the fashion scene and the general public. For instance, fashion shows are perceived as very superficial.

"With the lightness of the words, fashion shows are completely misunderstood. Unfortunately, not many journalists and critics in Japan seem to understand this. When you see how much hard work goes on behind the scenes of a fashion and how seriously the staff takes it, anyone with common sense wouldn't be able to give such easy critique."

― However, as a consequence of not creating something good, you won't be recognized and you'll be ridiculed or ignored.

"Of course, that's right. One staff member told me once that they had all worked so hard and that they should be acknowledged for it. I got angry at that time because no matter how hard you work staying up all night, if people don't get the message, it's no good. Our job is to communicate something, and so it's a failure if we don't communicate it. Rather than 'communicate', maybe 'raise' would be a better word. It is ultimately my responsibility as the designer to give something to people as a result of the hard work of the staff."

― With the war happening, many designers canceled their shows or cut back on their work while you have done a show to your heart's content. Speaking of the influence of the war, did you have strong feelings?

"It was a stronger feeling than being influenced. It's not war or politics that can really give something to people, but art. On the contrary, I saw this as the perfect opportunity to make this point clear. A Japanese journalist said to me, 'it's inappropriate to hold a fashion show at this time.' 'Inappropriate', it is 'inappropriate!' In a way, I think this shows the perception that Japanese people have of art, including fashion."

― Compared to so-called pure art, there is a tendency to disregard commercial art, including fashion.

"The tendency to disregard fashion is only found in Japan and America. In Europe, especially in Paris, fashion is an important cultural element and has a proper place in relation to customs and other art forms. I have always said that one cannot talk about culture if one does not understand what fashion is. I don't think such a person is qualified to talk about literature, music, or art. For example, you would look at the clothes of a famous artist or writer and you may think they are real or fake. Clothes reveal a person's taste and ideology in a very obvious way. Since it's a trivial matter, I think it appears even more clearly."

I'm a disgusting bastard, and there are times when I fall into self-loathing

Has this designer, always at the avant-garde and rebellious against his own establishment, pushed forward a revolution in fashion with a strong spirit?

― Isn't it also a pretty tough mental struggle to push forward and deny even your past work?

"I think my conflict as a human being is greater than my conflict at work. I would like to live my life as a man, trying my best to deal with the people around me (for example, the women and friends I like). And through that, I have a strong desire to live while experiencing the disgustingness, cuteness, and kindness of people, including myself, but I'm putting all my feelings into my work. Before I know it, I'm running away from work. I feel like I've been preoccupied with my work and not fighting reality, even when I should be solving problems as a human being. I go back and forth between being a man and being a working man. Or to put it another way, I'm throwing everything I have into my work, and there's no boundary between living and expressing myself. He comforts himself and blames himself for the way true expressive activity should be. For example, when you're faced with a situation where that person you care about is in so much pain and you can't physically help them right now, which one is more important? And it's like I'm living with these questions, constantly throwing myself at them."

― It's pretty human...

"Thinking about that, I feel like I’m a really disgusting bastard, and I take a shower while falling into self-loathing."

― You are a fan of Ango Sakaguchi and Arthur Rimbaud. Are you encouraged by their words and lifestyles?

"Ango Sakaguchi uses the words 'dismayed' and 'disturbed' a lot, and he said 'don't be ashamed of being dismayed or disturbed.' I really like that. 'When daunted, struggle,' he said."

― It's often said that Sakaguchi's life is tragicomical.

"I guess you could sum up all the activities I like to do in terms of tragicomical. The stuff that I feel is authentic is definitely rough and comical. I don't think there's a masterpiece in anything that's solely tragical."

Some people risk their lives to get dressed

The act of putting on clothes is repeated as long as humans are alive. Fashion is inseparable from the way one lives and thinks. What does Yohji Yamamoto think about 'wearing'?

― Rather than fashion, what about the act of wearing?

"What I hate is snobbish minimalism. I don't care about clothes—as long as you have a pair of jeans, a stylish T-shirt, and a fine cardigan, that's fine. Otherwise, it's the kind of attitude I hate the most. Then again, when it comes to luxury, I think it's foolish to dress up in luxurious clothes longing for an upper-class, aristocratic mood, with a desire to transform into something different from your true self."

― Are you suggesting that people should dress like themselves?

"To put it more simply: can you meet anyone in the clothes that you always wear? I often say that 'if the Emperor said he wanted to see me, I’d go like this.' Can you continue to wear what you believe in, what you feel like wearing, and what you like to wear, no matter what you might encounter? I think this is the biggest question regarding 'wearing'."

― In that sense, there are a lot of musicians who live their lives with consistency in their clothes and their work. For example, Demon Kogure would have gone to a party hosted by the prime minister wearing the same makeup and clothes.

"That's fine, that's fine! In any case, don't be afraid of being told that 'you look weird'. For example, when Tsuguharu Foujita went to Paris, he drew people's attention with his strange, dangerous bob cut. There's nothing wrong with wearing an eccentric style as long as this expression doesn't affect your profession. If people and their profession were genuine, this would never be the case. Maybe I'm exaggerating, but in the end, expressing yourself through clothing can be deadly, no? You may lose your job by wearing certain clothes. There are people who take that much risk in wearing their clothes."

― Your clothes clearly express your principles, right?

"For example, if I'm worn out after work and try to stop a taxi in the rain, it won't stop (laughs). The fact that a taxi driver will decide based on a customer's clothes is representative of the world. You must not lose to it."

"Life Clothes" born out of a set of restrictions

― In Wim Wenders' "Notebook on Cities and Clothes" (a documentary film on the work of Yohji Yamamoto, not released in Japan), you talked about how you were inspired by the portraits of ordinary citizens taken by August Sander (a German photographer who was active mainly in the 30s).

"In Sander's portraits, the essence of human life exudes. The way people look and dress in the photographs quietly tells us about their professions and their lives. Some of the clothes that I've always admired are those of the wandering Eastern Europeans who were persecuted by Nazi Germany during World War II. They only dress with 'as-is' clothing. I don't think a fashion designer could match this beauty, even if they were to work hard for the rest of their lives. In short, 'life clothes', I don't think one can make that..."

― You're a poet...

"Hmmm, what can I say? It's a frustration that I wouldn't be able to create that intensity. The charm of clothes born out of a set of restrictions is overwhelming. For example, it's the same with Japanese students. They put considerable effort into asserting themselves within the restrictions of the school uniform. It's in this way that their individuality is born. I love this kind of fashion."

― In Yukio Mishima's 'Confessions of a Mask', there's a pretentious, attractive student in a school uniform and flashy socks who gets everyone's attention.

"That's what being fashionable is all about, isn't it?"

― Speaking of uniforms, you designed the Japan Railway Company's uniform that will be effected this year, right?

"After all, I love uniforms. For instance, in the heyday of Mao Zedong's China, when everyone was wearing the Mao suit, everyone was dressed the same way, which made each person's individuality stand out. we can compare it to an animal like an iguana or a lion. Because they wear the same clothes, their own nature, individuality and personality comes out even more. But as soon as China started to adopt a lower level of fashion, everyone started to look the same."

― I know it sounds a bit mean, but in a sense, uniforms are clothes that control people. Why would Yohji Yamamoto, who rejects clothing that subordinates class, take on the design of a uniform?

"Japan National Railways..."

― Isn't it Japan Railway Company?

"Oh yeah, Japan Railway Company. I've always thought that public design exposed to the public eye needed to be improved. And I think the uniform is more than just a piece of clothing to control people, it has something in common with the 'as-is' clothing I mentioned earlier. There is no room for choice, and beauty and strength come from the set of restrictions. I thought it was the designer's role to express the charm of the uniform. Furthermore, I thought that if the men who work at JR Japan, who are widely exposed to the public eye, looked cool in my clothes, it might be an opportunity for the so-called 'rat-look' to change, perhaps even by only a hint."

― So you want to throw a stone.

"Yes, even just a pebble. Just trying to be helpful, you know?"

― Finally, to finish this monthly interview, I'd like to ask you to give a message to our readers. I think young people who are interested in fashion nowadays don't believe in manual fashion suggestions. More and more people are questioning the made-up fashion information that says this season is this color, this shape, etc. With that in mind, I'd like you to say a few words.

"Then I'll tell. Be more frustrated. More failures. Don't grow up. Drop out of school. That's it!"

― Drop out?

"There are real young people among those who drop out of school."

February 3rd, at the show. As the musicians, who had rampaged around the stage on the rhythm of rock and roll in their energy-filled Yohji outfits, disappeared and the venue went dark, a faint sound of singing could be heard coming from backstage. 'We Shall Overcome'. 'I'll Overcome Some Day' was originally a gospel song, but it was popularized by Pete Seeger and Joan Baez as a protest song for the civil rights movement and an anti-war song for the Vietnam War. As the lights slowly returned to the venue, the musicians returned to the stage. The crowd, which had been boiling with excitement, flinched into silence at the suddenness of the event, but the musicians did not stop singing. They held hands and continued to sing louder and louder. Before anyone could notice, the audience could hear them singing and clapping their hands all throughout the venue. It may have been the moment when Yohji and his friends 'gave' something to the people.

'We Shall Overcome' was not just sung as an anti-war song. It was a declaration of the designer's struggle to break down conventions and traditions, to break with the spirit of rebellion, and to continue his fight to ultimately defeat himself. Having himself fought with a rebellious spirit and broken down conventions and traditions, it was a declaration that the designer will continue his struggle to ultimately overcome himself. From now on, Yohji will continue to sing 'I Will Overcome' with a slightly shy look on his face.

Yohji Yamamoto Pour Homme, Autumn/Winter 1991-1992 Direct Mailer

1991
Design by Peter Saville

Yohji Yamamoto Pour Homme, Autumn/Winter 1991-1992 Direct Mailer

1991
Photography by Hideyuki K.

シャツの、肖像。
A shirt, a portrait.

January 1992
MR. High Fashion No.56
Photography by Hisashi Shimizu
Make-up and hair by Romero
Modeling by Oswald, Okanpa, Scott, and Danny

shirt ¥25,000 Yohji Yamamoto Pour Homme

中村達也
Tatsuya Nakamura
musician (drummer)

'65年、名古屋生れ。'90年2月、ボーカルの浅井健一、ベースの照井利幸らと、ロックバンド〝The Blankey Jet City〞を結成。現在、彼らのライブは各地でSOLD OUT続出というほどの人気。'92年の1月22日、セカンドアルバム『BANG!』をリリース。（東芝ＥＭＩ）

Born in Nagoya in 1965. In February 1990, he formed the rock band "The Blankey Jet City" with Kenichi Asai on vocals and Toshiyuki Terui on bass. Currently, their live shows are so popular that they are sold out one after another in many places. On January 22, 1992, their second album "BANG!" was released. (Toshiba EMI)

jacket ¥90,000, sweater ¥24,000 Yohji Yamamoto pour Homme

康　芳夫
Yoshio Koh
promoter

'37年、東京生れ。東大卒業。'72年、モハメド・アリのヘビー級戦を日本で実現させた、国際的なプロモーター。「アリ・猪木の戦い」「ネッシー探険」など、常に世間に話題を振りまく人。現在、ノアの箱舟発掘調査という、大プロジェクトを施行中。

Born in Tokyo in 1937. Graduated from the University of Tokyo. International promoter who brought Muhammad Ali's heavyweight fight to Japan in 1972. He has always been a hot topic of conversation, including the "Ali-Inoki fight" and the "Nessie expedition". He is currently working on a major project: the excavation of Noah's Ark.

suit ¥65,000, shirt ¥14,000 Yin & Yang
tie ¥65,000 Y's for Men

Mark Breslin wearing Yohji Yamamoto Pour Homme, Autumn/Winter 1991-1992

June 8, 1992
Toronto Star
Photography by Colin McConnell

Comedian Mark Breslin's jacket by Japanese designer Yohji Yamamoto causes people to point at you in the street, he says. Breslin, a confessed shopaholic, calls clothes his one vice.

パリのサプール

パリ 18 区、シャトールージュ駅にほど近いアフリカ人街にはコンゴからの移民が多く住んでいる。サプールたちのブティックも存在し、コンゴとほぼ変わらぬ日常を感じることができる。

キンシャサ出身のミュージシャン、故「パパウェンバ」氏もパリに拠点を持ち、活躍の場を、そしてサプール文化を世界に広げた。パリとサプールの関わりは深い。

Sapeurs in Paris

In the 18th arrondissement of Paris, near the Château Rouge train station, there are many Congolese immigrants living in the African Quarter. There are also boutiques for sapeurs, and you can feel their daily life almost the same as that of Congolese.

The late Papa Wemba, a musician from Kinshasa, also had a base in Paris and spread his activities and sapeur culture around the world. The relationship between Paris and sapeurs is deep.

Saeko Tsuemura

October 1991
Airbrush Art in Japan 4
Published by Graphic-sha Publishing Co., Ltd.

⬤ＹＯＨＪＩ　ＹＡＭＡＭＯＴＯ　ＰＯＵＲ　ＨＯＭＭＥ　’91秋冬コレクションのチケット　Ｂ全

⬤杉浦久夫

⬤上ーーＹＯＨＪＩ　ＹＡＭＡＭＯＴＯ　’93-’94秋冬コレクションのチケット　52.5×70cm

⬤左ーーＹＯＨＪＩ　ＹＡＭＡＭＯＴＯ　’94春夏コレクションのチケット　Ｂ２

⬤ YOHJI YAMAMOTO POUR HOMME Autumn/Winter ’91 Collection invitation card, B1

⬤ Hisao Sugiura

⬤ Above: YOHJI YAMAMOTO Autumn/Winter ’93-’94 Collection invitation card, 52.5×70cm

⬤ Left: YOHJI YAMAMOTO Spring/Summer ’94 Collection invitation card, B2

ここ五年ばかり、ヨウジヤマモトのコレクションのチケット、ワイズのカタログなどのグラフィックを担当しているのが、アートディレクターの杉浦久夫さんである。山本耀司さんいわく、「すっかりうちのスタイルの人でしょう」。もともとワイズ・フォー・リビングのグラフィックに携わっており、一九八八年、山本さんの個人的な音楽活動である、ヨウジヤマモトバンドのパンフレットを手がけたのが、ワイズにかかわるきっかけとなったという。

「ワイズというブランドとは違った、ミュージシャンの山本さんをどう表現できるか、という意味で面白かったですね。

そのときも含めて、山本さん自身からデザインをこうしてくれ、とかいう指示はないんですよ。いつもポンとひとつのことしか言わない。お互いにクリエイターどうしだから何も言わないほうがいいよね、という主義だから。与えられたテーマをぼくがどう切るかをみて、楽しんでいるのかな⋯⋯分からないけど、いつもそうですね。今回のコレクションはこんな感じってほんのひと言ふた言いわれて、〝わかるでしょう？〞〝ええ、なんとなく分かります〞⋯⋯それで戻ってきてから延々と考えるんですよね（笑）。チケットをデザインする時期は、まだコレクションが完成していないわけですから、最終の表現に向けて、山本さん自身が切ったり、省いたり、くっつけたりと変わっていくなかで、提示された方向性のどの部分を表現するかというところが、一番むずかしいですね」。

たとえば今回の'94春夏コレクションで、杉浦さんに与えられたテーマは「ガラスのシンデレラ」。ガラスなのか、シンデレラなのか、ガラスという素材なのか、ガラスの雰囲気なのか。それともシンデレラというのは山本さんなりのジョークなのか。だとしたらそのジョークをどんなふうに表現するか⋯⋯。ブランドの商品を見せる普通の広告とは違い、コレクションの場合ではいかに「今回の山本耀司」をみせていくかがポイントだ。

「はじめて山本さんのコレクションを東京で見たときに、すごく感激したんです。一枚の布がここまで表情を出せるのか、ということにね。しわの表情と全体のフォルムの表情がすごくセクシーでチャーミングだということに感動したんです。その感動を表現できないか、ということは常にベースとして持っています。グラフィックとしてその美しさをどう表現していこうかな、ということはいつも考えていますね。一枚の布があんなにセクシーになるんだから、一枚の紙でもできないことはないはずだ、というのをいつも無意識のうちに考えているみたい。そこに今回のテーマをどう組み立てていくか、ということになるんです」。

そのグラフィック表現はいつもシンプルだ。基本的にデザインをできるだけしないように、デザインしすぎないように、ということを心がけているという。

「いかにもデザインしました、みたいな感じって、なんかてれくさいでしょう。ぼくも好きじゃないし、山本さんもそのはず。レイアウトも書体もなるべくシンプルにしていますね。ただ、タイプフェイスの角を丸くしたり、目立たないように凝ってつくっているんですよ。布一枚のセクシーさに近付けていくためにそういうことを実はやっているんですけど。できるだけさらっと見せることでどれだけインパクトを与えられるかというところですね」。

山本さんと杉浦さんは、六歳違いだが、実は十月三日、まったく同じ日に生まれているのだそうだ。そんなところに見えない不思議な接点がある。ワイズがふたりを結んだとしたら、運命とは面白いものではないか。

［編集部］

For the past five years, Hisao Sugiura, art director of Yohji Yamamoto, has been in charge of graphics for Yohji Yamamoto's collection invitation cards, Y's catalogs, and other items. According to Yohji Yamamoto, “He is totally our style guy.” He was originally involved in the graphics for Y's for Living, and became involved with Y's in 1988 when he worked on a pamphlet for Yohji Yamamoto’s band, Yamamoto's personal music project.

“I was interested to see how I could express the musician Mr. Yamamoto in a way that was different from the Y's brand.

Even at that time, Mr. Yamamoto himself did not give me any instructions for how the design should be done. He always just says one thing at a time. He always tells me only one thing at a time, because he thinks that since we are both creators, it would be better if he didn't tell me anything. I wonder if he enjoys seeing how I cut the given theme... I don't know, but he always does so. When they say a word or two about this collection, ‘You know what I mean, don't you?’ ‘Yes, I understand it somehow.’ ... Then I come back and think about it for a long time (laughs). When I design a ticket, the collection is not yet completed, so it is most difficult for me to decide which part of the proposed direction to express, as Mr. Yamamoto himself changes the direction by cutting, omitting, or attaching to the final expression.”

For example, the theme given to Mr. Sugiura for the ’94 Spring/Summer Collection was ‘Glass’s Cinderella’. Is it glass, Cinderella, the material of glass, or the atmosphere of glass? Or is Cinderella a joke of Mr. Yamamoto? If so, how to express the joke... Unlike ordinary advertisements showing the brand's products, in the case of collections, the key point is how to show ‘Yohji Yamamoto this time’.

“When I saw Yohji’s collection for the first time in Tokyo, I was so impressed. I was impressed by how a single piece of fabric can express so much. I was impressed by the expression of the wrinkles and the overall form of the fabric, which is so sexy and charming. I have always been wondering if I could express that impression as a basis for my work. I am always thinking about how to express that beauty in a graphic form. It seems that I always subconsciously think that since a piece of cloth can be so sexy, there must be nothing that can't be done with a piece of paper as well. Then I think about how to build the theme of this exhibition on top of that."

His graphic expression is always simple. Basically, he tries to avoid designing as much as possible, and not to design too much.

“I don't like to look like I've done the design myself. I don't like it, and neither does Yamamoto. I try to keep the layout and typeface as simple as possible. However, I rounded the corners of the typeface and took great pains to make it inconspicuous. I do this in order to make it look as sexy as a piece of cloth. It is a matter of how much impact we can make by presenting it as plainly as possible.”

Mr. Yamamoto and Mr. Sugiura are six years apart in age, but were actually born on the exact same day, October 3. This is a mysterious and invisible connection between the two. If Y’s brought them together, fate is a funny thing, isn't it?

［Editorial Staff]

◎すぎうらひさおーー一九四九年三重県生。ヴァンヂャケット宣伝部意匠室、スカイ（現・Ｃカンパニー）を経て、スタジオスーパコンパス設立。ワイズ・フォー・リビングのポスターで、ニューヨークＡＤＣ入賞など

◎Hisao Sugiura - Born in Mie Prefecture in 1949. After working in the Design Office of the Advertising Department of Van Jacket and Sky (now C Company), established Studio Super Compass. Won a New York ADC award for his poster for Y’s for Living, among others.

Invitation Card for 6·1 THE MEN

1991
Drawing by Saeko Tsuemura
Design by Hisao Sugiura
Based on the invitation card for Yohji Yamamoto Pour Homme, Autumn/Winter 1991-1992

Marilyn Monroe Nude Picture

1949
Photography by Tom Kelley

Traditional Ivy Leaguers in Men’s Club, 1959 (Toshiyuki Kurosu on ladder in hat and glasses, Kazuo Hozumi in glasses at front).

[…] In 1959, Kazuo Hozumi convinced the editors of Otoko no Fukushoku—newly rebranded as Men’s Club—to feature the Traditional Ivy Leaguers in a four-page story. All seven members appeared in dark Ivy suits for the group portrait, holding up a poster of a blond pinup girl to demonstrate their expertise in American culture. Hozumi secretly wrote the accompanying text, proclaiming the group to be “seven Ivy samurai.” […] (p.31)